MMN プレスリリース カンボジア・ベトナムから日本への「公正な」移住労働の実現に向けて MMNマルチステークホルダーワークショップを受けて

MMN プレスリリース
カンボジア・ベトナムから日本への「公正な」移住労働の実現に向けて
MMNマルチステークホルダーワークショップを受けて

 2021 年12月10日            

日本政府がより多くの移住労働者に永住資格を付与する道を歩み始めた今、Mekong Migration Network (MMN) は、2021年11月24日、マルチステークホルダーワークショップ「カンボジア・ベトナムから日本への移住労働」を開催しました。日本、カンボジア、ベトナム各国の政府機関、国際機関、移住者アドボケート、送り出し機関、雇用者、学識経験者など、90人を超える方々の参加がありました。このワークショップは、技能実習制度と新しく創設された在留資格「特定技能」のもとで移住労働者が抱える問題への対応について、日本と、主要な送り出し国であるカンボジアとベトナムから、様々な意見に耳を傾ける機会となりました。特に、日本に向かう移住労働者が負担する多額の移住費用をめぐる問題と、健康、また新型コロナウィルスに関しての情報提供における課題について、議論が交わされました。

開会にあたり、MMN運営委員会前代表であるジャクリーヌ・ポロック氏は、立場の異なるステークホルダーが集い、意見を交わす必要性を強調し、コロナ禍にオンラインでワークショップが開かれる現在、「コロナ禍で、私たちが何を学び、何を学ばなかったのか。そして何を学ぶべきだったなのか」を考えるよい機会であると述べました。そして「このワークショップが、人々を危険にさらすことのない移住システムの実現に向け、移住者、出身国、行き先国の相互依存性を前提にし、将来に向けたアクションポイントを導くものになるようにしたい」と結びました。

最初の発題者である在ベトナム日本大使館一等書記官林幹雄氏は、「技能実習生が実習先から失踪等をする背景には、高い移住費用があると考えられる。高い移住費用を工面するための借金返済を抱えるプレッシャーが、実習生を失踪に導いてしまう。このため、当館では、ブローカーを経ずに求職活動ができるプラットフォームの構築、正しい情報発信、悪質な送出機関に関する情報収集等により、ベトナムでかかる高額な訪日費用を低減すべく取り組んでいる。」と述べました。

移住労働者の状況を改善するための企業の役割の観点から発題した、味の素サステナビリティ推進部社会グループ中尾洋三氏は、「外国人労働者の責任ある受入れに関する東京宣言2020に日本の大企業の多くは賛同しているが、送り出し国における送り出し費用の透明性の向上が不可欠である」と指摘しました。そしてマルチステークホルダーが集うプラットフォームが設立され、移住労働者の権利保護、労働環境と生活環境の改善の必要性について企業の間で広く認識され始めており、これにより将来にわたり移住労働者に「日本が移住先として選ばれる国」となっていくとしめくくりました.

日本に暮らす移民・移民ルーツをもつ人びとの権利と尊厳の保障を求めて活動するNGO,

日本に暮らす移民・移民ルーツをもつ人びとの権利と尊厳の保障を求めて活動するNGO,「移住者と連帯する全国ネットワーク」の崔洙連氏は、本ワークショップのもうひとつのテーマであった、移住労働者の健康・リプロダクティブヘルスに関する情報へのアクセスについて発題しました。妊娠した女性移住労働者が抱える問題として、妊娠を理由とした女性移住労働者の解雇は法律で禁止されているにも関わらず、「現実には、技能実習生や特定技能労働者の中には、妊娠禁止条項の入った契約書にサインしている人がいたり、仕事を失うことを恐れて妊娠したことを誰にも打ち明けられない場合が多い。彼女たちは、送り出し費用の借金返済の問題に加え、日本での出産や育児についての情報を得るのが難しかったり、必要な行政サービスにアクセスするにもハードルがある」と報告しました。

続く分科会では、送り出し国であるカンボジア、ベトナムに分かれ、それぞれの国の政府機関、送り出し機関、市民団体、ILOから政策、現状と課題について発題がありました。カンボジアの送り出し機関の組織である、マンパワー協会代表ブンハック・アン氏は、「もし不要な費用を削減できれば、フィリピン人移住労働者と同じレベルまで送り出し費用は下げられるはずである。私の理解では、日本の法令をよく見ると、移住労働者に課す送り出し費用をゼロにすることは可能である。カンボジア人労働者一人につき3,000アメリカドルをもらうことができれば、送り出し機関は移住労働者に課金することなく、事業を行うことができる。」と述べました。

カンボジアのNGO、Legal Support for Children and Women ディレクターの、ソクチャー・モム氏は、カンボジア政府に対し、「労働組合、移住者、NGO,政府機関のコンサルテーションによって、日本への送り出し費用の費目についての規制措置をとっていくべきである」と提言しました。

移住費用の透明性をどうやって向上させるかについての質問に対し、ベトナムの送り出し機関協会、ベトナム海外労働者派遣協会の副会長であるレロンソン氏は、「移住労働者候補者が日本での雇用機会に関する各種法令・制度の規定、内容についての情報にアクセスできるようにならなければならない、そして彼らがブローカーを介さず送り出し機関に直接連絡できるようにならなければならない」と回答しました。

ILO ベトナム事務所のジェーン・ホッジ氏は、現時点では移住費用の費目が定められておらず、移住労働者が搾取されることがないよう、サプライチェーン全体を通し、取り組むべきことは多い」と指摘しました。

まとめの全体会では、日本に向かう移住労働者の公正な移住プロセスの実現に向けた具体的な施策について、活発な議論が行われました。その中では以下のような意見が上がりました。

  • 移住労働者候補者と雇用を希望する企業との距離を縮めることによる、移住費用の削減
  • 移住労働者に占める女性の比率が高いため、日本におけるリプロダクティブヘルスについての情報提供の改善
  • 移住労働者の保護のための政策への信頼性を高めるよう、コミュニティを通した情報提供へのさらなる努力

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MEKONG MIGRATION NETWORK メコン移住ネットワーク

2003年に発足した、メコン地域において、移住者とその家族の権利保障に向けて取り組む市民社会団体と研究機関のネットワーク。MMNの活動分野は多岐にわたり、合同調査、アドボカシー、キャパシティビルディング、ネットワーキングなどがあります。MMN は送り出し国と行き先国双方で活動しているという特徴があり、また草の根レベルで移住者とつながっているという面もあります。詳細はウェブサイトをご覧ください。

www.mekongmigration.org

お問い合わせは、針間礼子 reiko@mekongmigration.org  までお願いします。

 

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